現在障害者専用住宅WeeWで暮らすDさん。DさんとHIDAMARI GROUPの出会いは12年前に遡ります。当時の支援者は丹羽社長ただ一人でした。丹羽社長とDさん、Dさんのご家族との出会いが、HIDAMARI GROUPの未来を大きく変えます。Dさんとの出会いはHIDAMARI GROUPにどのような影響を与えたのでしょうか。障害者シェアハウス設立と同時に入居し、HIDAMARI GROUPでの生活は今年で7年目となります。シェアハウスに送り出したご家族の心情や、現在の生活、またスタッフとの関係性など根掘り葉掘りお聞きしてきましたのでみなさんにお届けします!入居当初、シェアハウスリーダーを務めていた森野人事部長、支援員として深く関わりのあった横山リーダーにも当時を振り返っていただきました。今回はご家族が営む【長崎ちゃんぽん大光楼】にお邪魔してインタビューをしてきました♩■HIDAMARI GROUPを利用し始めたのはいつですか?お母様『Dくんが小学6年生の頃だったので12年前くらいから利用させていただいています。丹羽社長に週1回散歩に連れていってもらっていました。自宅の2階窓から社長の白いランクルが来るのを待っているDくんの姿が印象に残っています。丹羽さんが16時に来ないとDくんが荒れてしまうので電話で急がしたこともあります(笑)最初は散歩が目的だったDくんも次第に丹羽さんを好きになっていきました。私生活に大きな変化はありませんでしたが、週一回の支援を楽しみにしている様子が伺えました。』 お母様『2017年の冬に、丹羽さんからありがたい報告を受けました。シェアハウスを立ち上げるよという内容でした。自宅で暮らすことに限界を感じていたのですが、Dくんを受け入れてくれる施設はありませんでした。そんな時の報告で、しかも丹羽さんはDくんを受け入れる気満々で話をしてくださいました。ありがたい気持ちで涙したのを覚えています。それまでの丹羽さんは担当者会議ではあまり発言をせず、時計を気にするそぶりなどをしていたので(笑)、どちらかというとあまりDくんのことを考えてくれていないのかなと思っていたところ実は一番考えてくれていたのが分かって。驚きと感謝の気持ちでいっぱいになりました。』 お母様『シェアハウスFOREST(現THE C OKUCHO)への入居は即決しました。嬉しいと同時に、寂しさや悔しさもあって。どんなに努力しても一緒に住めない苦しさ、Dくん以外の家族も守らないといけない使命感など複雑な思いでいました。私自身、精神的に不安定になる日もありました。毎日毎日、Dくんにとって何がベストなのかを考えて一緒に暮らしてきました。それでも一緒に暮らしていくことが困難な状況が変わることはなく、Dくんにとって間違っていたことをしていたのではないかと自分を責めてしまうこともありました。』 森野さん『お母様と契約を交わした日のことを鮮明に覚えています。契約しながら涙される姿に、これまでDくんと生活することへの努力や苦労、今後の生活への不安、母親としての愛情など本当にたくさんの想いを感じ取り、身が引き締まる想いで契約したのを覚えています。一緒に住みたいのに住めないもどかしさは家族にしかわからない。Dくんにとってもご家族にとってもシェアハウス入居の選択が良かったものにしようと強く思いました。この時、感じたことは今でも若いスタッフや会社見学に来られる求職者へ今でも話します。利用者様やご家族は好きでここでの暮らしを決めたわけではない。たくさんの事情があり、HIDAMARI GROUPで暮らす選択をした人たちなんだということを理解してほしいからです。』 ■Dくん入居にあたり何が一番心配でしたか?お母様『人様に預けるということは本当に心配でした。正直に話すとHIDAMARI GROUPは若いスタッフの方が多かったのも少しこわかった。家族でさえ、収集がつかないほど暴れてしまう時や他害がある時は腹が立つので、見てくださるスタッフさんが感情的になってしまわないかなとか。』 ■入居後、どんな心境でしたか?お母様『入居してからは予想通り暴れてしまいました。FORESTの一階をDくんが占領し、壁もガラスもエレベーターも破壊してしまいました。次第にDくんがFORESTにいることで他の利用者様やスタッフへ迷惑をかけているのではないか、こんな大変な子を受け入れたことをHIDAMARIさんは後悔しているのではないかなど、スタッフの方々と会うたびに気を使ってしまうことが増えていきました。』 森野さん『入居後は慣れない環境と18歳という成長期も重なり、フルパワーで暴れてくれました(笑)入居前、Dくんとの関わりは社長のみ。しかし、社長からDくんの話はたくさん聞いていました。なんとしてでも受け入れるという強い意志を感じていましたしその気持ちを受け継いで、なんとかしていくのが僕の役割だと思っていました。が、二日でFORESTが崩壊すると思うほどの勢いで破壊行為があり(笑)なんとかDくんが落ち着いて生活していけるように環境を整えていきました。』 ■入居後、ご家族とDくんとの関わりはありましたか?お母様『Dくんと会いたい気持ちがありながらも森野さんと慎重に話を進めていきました。入居当初は定期的に自宅に帰ってくる日をつくっていましたが、Dくんは嬉しい気持ちとFORESTに戻ったときのギャップで荒れてしまうことが続きました。FORESTで調子が良い日が続いても自宅に帰った日をきっかけに調子を崩し振り出しに戻ってしまうということが何回か続き。記憶力が良いので去年の記憶などを思い返して荒れてしまうことも。』 ⬛︎どんな気持ちでDくんをお母さんの元に送り出していましたか?森野さん『もちろん“いってらっしゃい、楽しんできてね”という気持ちです。お母さんの愛情は一番よく分かっていましたから。と同時に、帰ってきたらどうなるかなという不安もありましたね。』 お母様『DくんがFORESTにいることでスタッフさんたちが大変なことは分かっていたので、スタッフさんたちに息抜きをしてもらいたくて家に帰る日をつくっていたのも理由にあります。本当にやんちゃだったので自分にできることはやろうという気持ちでした。もちろん純粋に会えることへの喜びもありましたが、その後暴れてしまう不安の方が大きくなっていきました。話し合いを重ね、Dくんと私たちが会うことは一度辞めることになりました。寂しかったですけど、Dくんの安定を優先に決めました。』 横山さん『そういえば、出勤初日にDくんが投げた食器が僕にヒットしました(笑)味噌汁でべちゃべちゃになったTシャツを脱ぎ、タンクトップで過ごした記憶があります(笑)初めての介護現場だったので驚きましたがこういう方もいるんだなと、初日にとても良い勉強をさせていただきました。』 森野さん『横山には初日から激しい現場に遭遇させてしまったので、もう明日から出勤しないだろうなと腹を括ったら、翌日普通に出勤してくるのでびっくりしました(笑)』 お母様『横さんは入居当時からのDくんを知ってくれているので今となっては本当に頼れる存在ですよ。』 大将(お父様)『HIDAMARI GROUPさんに預ける時期、Dくんは本当に荒れていたので離れて暮らした方がお互いの為になると頭では理解していたけど寂しい気持ちは消えませんでした。あれだけ荒れており、頭を悩ませてもいざ離れるとなると寂しかった。けれど家族でも手に負えないDくんを預かってくれるのは本当にありがたかったです。入居後には、“そこまでできるのか!”と驚く程の破壊が続き、保険の方にもめちゃくちゃ壊しますねって言われたり(笑)迷惑かけて申し訳ないと当時は強く思っていました。そんなDくんでも今となっては落ち着いて過ごしてくれているので安心していますが、荒れている時期も含め見捨てずに面倒を見てくださっているHIDAMARIさんには本当に感謝しています。』お母様『障害者専用住宅WeeWの始まりが、Dくんの為の建物だと聞いたときは本当に感謝しました。丹羽さんは“Dくん向けの建物をつくります!!もう壊させない!!(笑)”と冗談も交えながら話してくださいました。明るく伝えてくださったことでこちらの気持ちも軽くなりましたし、楽しみな気持ちに変わりました。』 横山さん『HIDAMARI GROUPとしてもシェアハウスFORESTは初めての取り組みでしたし、Dくんの年齢的に環境の変化や刺激など多感な時期だったこともあります。ですが、Dくんが入居してくれたおかげで強度行動障害者向けのWeeWが建ち、Dくん以外にもお困りの方々がたくさんいらっしゃることがわかりました。現に、WeeWの入居依頼は絶えないですし、この建物を必要としている人たちが多くいらっしゃり、その方たちへ支援できているのはDくんのおかげです。』 お母様『横山さんが言ってくれたことがDくんの役目だったのかもしれないですね。そう捉えるととても喜ばしいことです。』 森野さん『壊しきって結果オーライです(笑)』 ■HIDAMARIスタッフの印象は?お母様『支援してくださるスタッフさんが本当に良かったと思います。森野さんも横山さんも今見てくださっているスタッフさんも。私自身、森野さんと横山さんに心を開いていてなんでも相談してきました。Dくんが安心していられるような関わり方をしてくださります。固すぎないフレンドリーな関わりにDくんが心を開いていったのだと思います。私から見ても真剣にDくんと向き合ってくれているのが伝わりますし担当者会議での発言では頼もしさと、日々勉強してくださっているということも見てとれます。出勤初日にDくんの衝撃を受けたのにも関わらず、そこからブレることなく、ずっとDくんを見ていてくれているところも信頼につながりました。他のデイサービスでは一度Dくんのその姿を見たら断られることがほとんどだったのですが、HIDAMARIさんは一度もなかった。Dくんとも私たち家族とも信頼関係を築けるよう努力してくださったことは本当にありがたいです。』 ■スタッフと連絡は頻繁にとっていましたか?お母様『預けたからにはお任せすれば良かったのですが、やっぱりDくんのことは気になって仕方がありませんでした。マメに連絡をとっていただきDくんの様子を報告いただいていました。現在は、定期的にWeeWに伺い、Dくんと会うことができています。この間は娘と姪が2人でDくんに会いにいき同じ部屋で5分間ほど一緒に過ごすことができ、娘も大喜びでした。動画が送られてきて本当に嬉しくなりましたね。つい先日は、私から直接お誕生日プレゼントを渡して、写真を撮ることができました!入居当初には想像していなかったことが今できています。7年間かけてこのカタチを作ってくれて本当に感謝しています。』■ご家族の生活には何か変化はありますか??お母様『去年から大好きなサーフィンを再開しました!!大将と出会ったきっかけもサーフィンなんですよ!元々アクティブに出かけていたのですが、Dくんと一緒に暮らす中で頭を悩ますことが増え、大将も私も精神的に不安定で趣味を楽しむ余裕なんてありませんでした。仕事もいっぱいいっぱいな時期もあって。今まではどこにいても何をしていても不安が消えませんでしたが、ここ2、3年は私たちも安心して落ち着いて生活させていただいています。離れていてもDくんも私たちも楽しんでいければいいなって。大好きなサーフィンがまたできるなんて夢にも思っていませんでした。仕事にも集中できるようになり、日々忙しくさせていただいています。お時間ある時は食べにきてくださいね!!』 ■今後の目標はありますか??お母様『私たちの目標は、新しくお店を出すことです。ずっと出したかったのですが、自分たちの精神状態や、コロナ禍もありなかなか一歩踏み出せなくて。今スタッフが増え私と大将の体が空いてきたのでそろそろかなと思っています。今はそのことですごくワクワクしています。体力が心配なので体力をつけておかないとですね!(笑)Dくんとの目標は、家族でお出かけすることとお家にお泊まりすること。少しずつ少しずつ実現に向けて動いていきたいです。』 横山さん『こういったご家族のケースはもっと増やしたいです。第二弾、第三弾と重ねられるように、利用者様だけでなくご家族も巻き込んだケアというものをもっと根付くものにしていきたいです。ご家族も夢に向かっていけるような環境をHIDAMARI GROUPが提供し、そしてこういったご家族の姿を働くスタッフにも見せていくことで、互いに相乗効果をもたらす環境にしていきたいと思います。』